💰 コスト 2026年5月 | 株式会社リープリック

サイバー保険、入るだけでは意味がない
——使えるかどうかの確認ポイント

「サイバー保険に入っているから大丈夫」——そう思っていた会社が、いざ被害に遭ったとき「基本的なセキュリティ対策を講じていなかった場合は補償対象外です」と言われるケースが増えています。保険は入っただけでは安心できません。使えるかどうかを今すぐ確認してください。

サイバー保険の加入は増えているが……

サイバー攻撃のニュースが相次ぐ中、中小企業でもサイバー保険への加入が広がっています。保険料も年間数万円からのプランが登場し、「念のため入っておこう」という判断は決して間違いではありません。

約3倍
過去5年でのサイバー保険市場の拡大(国内推計)
約4割
大企業でのサイバー保険加入率(2024年調査)
1割以下
中小企業でのサイバー保険加入率(推計)

問題は、保険証券を持っていることと、いざというときに補償を受けられることはまったく別の話だということです。損害保険業界では近年、サイバー保険の保険金支払い審査が厳格化しており、「対象外」と判断されるケースが報告されています。

免責事項の落とし穴——「対策不足」は対象外になる

多くのサイバー保険の約款には、次のような免責条項が含まれています。

⚠️ よくある免責条項の例(要約)

「被保険者が合理的なセキュリティ対策を講じていなかったことに起因する損害については、保険金をお支払いできない場合があります」

「既知の脆弱性が未修正の状態で放置されていた場合は、対象外となります」

「多要素認証(MFA)が設定されていなかったシステムへの不正アクセスによる損害は補償対象外です」

「合理的なセキュリティ対策」の定義は保険会社によって異なりますが、一般的にはパッチ適用・バックアップ・アクセス管理・ログ管理などが含まれます。つまり、これらを怠っていた場合、保険に入っていても補償されない可能性があるのです。

💡 たとえると……

自転車保険に加入していても、ブレーキが壊れたまま乗り続けていて事故を起こした場合は補償されないことがあります。「整備不良」が原因だからです。

サイバー保険も同じです。既知の脆弱性を放置したままランサムウェアに感染した場合、「整備不良(セキュリティ対策不足)」と判断され、保険金が支払われないケースがあります。保険は「事故が起きないようにする仕組み」の代わりにはなりません。

今すぐ確認すべき4つのポイント

加入済みの保険、または検討中の保険について、以下の4点を必ず確認してください。特に「言った・言わない」のトラブルを防ぐため、約款の原文を確認することをお勧めします。

保険よりも「事故を起こさない体制」が先

サイバー保険は、あくまでも万が一のリスクを金銭的に転嫁する手段です。保険に入ったからといって攻撃されにくくなるわけではありませんし、被害発生後の業務停止・信頼失墜・対応コストの全てをカバーできるわけでもありません。

📋 サイバー保険で補償されにくいもの

・システム停止中の機会損失(売上が上がらなかった分)

・取引先からの信頼喪失・風評被害

・経営者・担当者が対応に費やした時間

・対策不足と判断された場合の損害全般

保険の活用を否定するわけではありません。しかし正しい優先順位は「まずセキュリティ体制を整え、その上でリスク移転として保険を活用する」という順番です。体制が整っていない状態で保険だけ入っても、肝心なときに使えない可能性が高いのです。

セキュリティ診断を受けると保険料が下がるケースがある

実は、第三者機関によるセキュリティ診断の結果を提出することで、保険料の割引や審査通過率の向上につながるケースが出てきています。保険会社にとっても、事前に自社のリスク状態を把握・改善しようとしている企業は「リスクが低い顧客」と評価されます。

診断を受けることは「保険に入る前の下準備」としても、「保険更新時の交渉材料」としても有効に機能します。


まとめ——保険証券よりも先に確認すること

保険の前に、自社の現状を把握しましょう

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参考

金融庁「サイバー保険の動向と課題」/損害保険各社約款(公開情報)/IPA「中小企業のためのサイバーセキュリティ対策の極意」

執筆:株式会社リープリック(ITインフラ設計・構築・保守 14年)